

【ジャパンカップ=王良造父】
「デットーリが乗ると5馬身違う」
これは社台ファームの総帥・吉田照哉氏が、世界的名騎手であるランフランコ・デットーリの超絶騎乗ぶりに感嘆して漏らしたとされる言葉ですが、それはジャパンカップの結果にも表れています。
2004年以降、20回のジャパンカップにおいて、デットーリ騎手は2頭の外国招待馬に騎乗して1着と3着でしたが、他の騎手が騎乗した外国招待馬は63頭出走して、なんと[0.0.0.63](※左から[1着.2着.3着.4着以下])。
今年はデットーリ騎手の参戦はありませんから、出走する 外国招待馬3頭の馬券購入は、押さえの押さえの3着まで に留めておきます。
実はデットーリと外国招待馬に限らず このレース、騎手で買うレース なのです。
13年以降の優勝騎手を並べてみましょう。
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13年:ライアン・ムーア
14年:クリストフ・スミヨン
15年: 池添謙一
16年: 武豊
17年:ヒュー・ボウマン
18年: クリストフ・ルメール
19年:オイシン・マーフィー
20年: クリストフ・ルメール
21年: 福永祐一
22年:ライアン・ムーア
23年: クリストフ・ルメール
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このうち、 太字 はJRA所属の騎手ですが、 [A] 池添騎手は12年にオルフェーヴルで、武豊騎手は05年にディープインパクトで、ルメール騎手は18年にアーモンドアイで、福永騎手は20年にコントレイルで、それぞれ 三冠を達成し、さらにジャパンカップと同じ東京芝2400mのGⅠを複数回優勝 していました。
三冠を達成出来得る卓越した技術と胆力を持ち、そして東京芝2400mのGⅠの勝ち方を熟知した騎手でないと、世界各国の超一流騎手が集うJRA最高賞金額を誇るこのレースは優勝出来ないのでしょう。
20・21・23年の2着馬、17年の3着馬もこれに該当。
前記の表から [A] を除いたものを、もう一度見てみます。
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13年:ライアン・ムーア
14年:クリストフ・スミヨン
17年:ヒュー・ボウマン
19年:オイシン・マーフィー
22年:ライアン・ムーア
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この4名の 外国人騎手が騎乗していたのは、[B]ノーザンファームが生産、もしくはノーザンファーム系クラブ馬主が所有していた馬 でした。
日本競馬界を席巻するノーザンファームに超一流の外国人騎手が騎乗するわけですから、この成績もうなずくほかありません。
15・22年の2着馬、13・22年の3着馬もこれに該当。
13年以降の2着馬のうち、前記の [A][B] に該当しなかった騎手を並べます。
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13年:浜中俊
14年: 福永祐一
16年: ミルコ・デムーロ
17年: クリストフ・ルメール
18年: 川田将雅
19年:津村明秀
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太字 の4名は、 [C]三冠騎手ではないものの、東京芝2400mのGⅠを複数回優勝していました (※川田騎手の三冠達成は23年)。
三冠達成の経験がない分、優勝までには手が届かなかったのかもしれませんね。
16・18・19・21年の3着馬もこれに該当。
13年の浜中騎手、19年の津村騎手が騎乗したのは、 [D] 斤量が古馬牡馬比マイナス4kgの 3歳牝馬 でした。
4kgの差が、経験や実績の差を埋めてくれるのでしょう。
20年の3着馬もこれに該当。
今年、優勝まである [A][B] 、2着までは十分にある [C][D] に該当する馬を挙げます。
[A]
川田将雅(=⑭スターズオンアース)
クリストフ・ルメール(=⑨チェルヴィニア)
武豊(=③ドウデュース)
[B]
クリスチャン・デムーロ(=④ジャスティンパレス)
ウィリアム・ビュイック(=⑩ドゥレッツァ)
[C][D] の該当馬はいませんでした。
[A] に該当する川田騎手&⑭スターズオンアースは、3月末以来の出走となり、81年の第1回から途絶えることなくつながってきた、『10月以降に出走していない馬の優勝なし』という鉄の掟に反してしまいます。
1着なしの2着まで。
[B] に該当のクリスチャン・デムーロのJRA重賞の全成績は[15.14.13.80]で、勝率は12.3%、複勝率は34.4%ですが、東京競馬場に限ると最多の32回騎乗して、なんと[0.2.5.25]と1勝もしていません。
複勝率も21.9%と低下し、得意ではないと判断し、④は押さえの2着まで。
[B] に該当する、ビュイック騎乗の⑩ドゥレッツァは6番人気以下がほぼ確実ですが、09年以降、6番人気以下の馬は179頭出走して成績は[0.3.6.170]で1勝もしておらず、17年以降の7回では[0.0.0.80]と2・3着すらなくなりました。
こちらも押さえの2着まで。
13年以降 [A][B][C][D] のいずれにも該当しなかった3着馬3頭は、すべて前走はGⅠに出走し、1・1・3着と好調でしたが、今年該当するのは、 [A] に該当する⑨チェルヴィニア
と③ドウデュース以外に、⑧オーギュストロダンしかいません。
念のため3着で押さえておきます。
▶▶▶<結論>◀◀◀
[馬単フォーメーション]
1着③⑨→2着③④⑨⑩⑭8点
[3連単フォーメーション]
1着③⑨→2着③⑨⑭→3着③④⑧⑨⑩⑭16点
【王良造父】(おうりょうぞうふ)
王良と造父。
どちらも人名で、優れた御者(=馬車で馬を操り、走らせる者)であったとされる。
同じスキルを持った人名を並べただけの四字熟語で、現在でなぞらえれば、 【武豊川田】 みたいな感じでしょうか。
馬単でも3連単でも、1着2着が【武豊ルメール】、【ルメール武豊】より配当は高くなるはずなので、結果も 【武豊川田】 での四字熟語フィニッシュで、是非ともお願いしたいものです。
文章:綱本将也 イラスト:魚乃目三太
【綱本将也】
漫画原作者。1973年東京都出身。2002年『U-31』連載デビュー。原案をつとめる『GIANT KILLING』は第34回講談社漫画賞一般部門を受賞。また現在ヤングチャンピオンにて『Mr.CB』を連載中。
【魚乃目三太】
漫画家。1976年生まれ。奈良県出身。ほっこりな作風で食漫画をメインに多くの作品を執筆。 現在、ヤングチャンピオン烈にて『戦争めし』を連載中。他に『ちらん-特攻兵の幸福食堂』や 『しあわせゴハン』『宮沢賢治の食卓』など代表作は多数。
