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ヤンチャンWebさんの作品:第3回 ゲスパン

ゲスパン

この連載の初回テーマ候補として「ルーズソックス」や「たまごっち」など、所謂「誰でも知っている平成の遺物」が挙がったのだが、思い起こせば両方当時の私には関係のない代物だったので、感じている懐かしさ自体が錯覚なのである。何故ならルーズソックスというのは、少なくともスクールカースト中間以上が履くものだったからだ。それ以下はハイソックスならまだマシな方で、スネやくるぶしまでの、逆になぜその丈を選んだか謎な白ソックスを履いていた。結局ティーンにとって流行りのアイテムというのは、イケてるグループ、そして家がある程度裕福な奴だけのものなのだ。

 しかし、関係はなかったがそれらの物が流行っているというのは知っていたし、そういう流行りを「ちょっと小馬鹿にしている」のがイケてないグループの特徴である。

そんなわけで今回のテーマは「ゲスパン」だ。流行りぐらいは知っていたと言ったばかりだが、いきなり全く知らないものが出てきてしまった。

 

 

「ゲスパン」とは、普通に考えれば何にも配慮していない下ネタであり、平成のコンプラ意識がいかに終わっていたかよくわかる。だが終わっているのは私の発想であり、正解は「GUESS のパンツ」のことだそうだ。

 正解を聞いたところで全く「ああ、アレね」とならないのが困る。だが私が知らないのは無理もない。「ゲスパン」は当時の男の若者の間で流行った「腰パンファッション」によく使われていたパンツだそうだ。ちなみに編集部の40代男性のリクエストらしい。腰パン自体割と最近のファッションだと思っていたので40代が懐かしんでいることが衝撃だ。

 腰パンとは、腰の位置でベルトを締めるズボンのはき方だ。それじゃパンツ見えちゃうだろ、と思うかもしれないが普通に見えている奴も多かった。それも黒のTバックなど、そこにもこだわりが光っているなら良いが、大体どうでもいいトランクスが見えていた。

 よってだらしがないファッションとして良識ある大人には極めてウケがわるかったのだが、当時は「大人が文句を言うファッションこそがイケている」という風潮があった気がする。

 今の若者はそういう大人に対するイキりファッションがあまりないように感じるが、私が知らないだけで、あえて片玉を見せる「玉パン」とかが流行っているのだろうか。

 そうだとしたら、10年後ぐらいに恥ずかしくなると思うのでいますぐしまうことをお勧めする。しかし、その画像がネットに出ていたりすると、今更しまっても手遅れなので、今の若者は本当に大変だ。

 

📢 【げすぱん】アメリカのブランド「GUESS」 のバギーパンツの通称。平成6年前後より男子中高生の間で流行した通常より低い位置でズボンを履くいわゆる〝腰パン〟スタイルのファッションとしてよく用いられた。

 

PROFILE

カレー沢薫
どうぶつ社会風刺政治ギャグ漫画『国家の猫ムラヤマ』①②巻、『国家の猫ムラヤマ 解散!』、
健康エッセイ『部屋から出ないで100年生きる健康法』、
SNS心得エッセイ『一億総SNS時代の戦略』(すべて弊社刊)大好評発売中!
弊社エレガンスイブ編集部運営ウェブサイトSouffle(スーフル)にて『
ほがらかSNSライフ 』連載中!

X(旧Twitter)@rosia29
ヤンチャン担当X(旧Twitter)@murayamasoul

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5時間前