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ヤンチャンWebさんの作品:第4回 mixi(ミクシィ)

mixi(ミクシィ)

 Twitter社がイーロン・マスクに買収されて以来、Twitterは混迷を極めており「そろそろ別のSNSに移った方がいいのではないか」と囁かれている。しかしそう囁かれている場所自体がTwitterというどうしようもない状態であり、混迷も何もTwitterは常にドブ川、東京湾のように汚い日とすごく汚い日しかない。

 Twitter民もドブでしか生きられないため、別のSNSに移りたくても同じぐらい水質が終わっている川を見つけあぐねている状態だ。

 そんな時候補に挙がるのが「ミクシィ」である。最近はTwitterが不安定になるたびに中年たちが「こうなったらミクシィに戻るしか…!」とつぶやき若人がポカンとするのが鉄板になっている、と言いたいがTwitterには最初から中年しかいない。

 「ミクシィ」とは、SNSの先駆け的存在である。形式はブログに近かったが、Twitterでいうフォローやフォロワーに当たる「マイミク」という機能があり、投稿を全ユーザーに公開することもできるが、マイミクにだけ限定公開する裏垢的使い方もできた。

 中年が言う「ミクシィに戻るしかない」は、ガチの人もいるかもしれないが「ミクシィだけはねえよ」というギャグの意味合いも強い。何故ミクシィだけはないかというと、機能がクソだからではない、例えクソでもTwitterという肥溜めに浸かっている奴には言われたくないだろう。

 

 

おそらく、ミクシィを懐かしんでいる中年は、二十歳前後にミクシィを利用していたと思われる。私も当時二十代前半であり、謎の全能感とマイミクのみ公開という状況にどうかしてしまったのか、妙にいい女ぶった日記、ポエム、自撮り、それも日焼け跡を見せるなど、思春期でも悟りを開くようなセクシーショットを公開してしまっていた。

 現在Twitterにソシャゲのガチャスクショしか貼らない奴でもこれだけ正気を失ったのだから、当時ミクシィで前後不覚に陥った現中年は多かったのではないだろうか。

 よってミクシィに罪はないが「ミクシィ」の名前を聞くと同時に「あの時のブチ殺したい自分」を思い出すため、いろんな意味であそこに戻るわけにはいかないのだ。

 しかし、今TikTokに制服リールダンスとかを投稿している若人も二十年後それが黒歴史となり、TikTokという言葉を聞くたびに自分をブチ殺したくなるのかもしれない。

 それに対してTwitterはリアルタイムでクソだと自覚ができているので、後で黒歴史になることはない。

 やはりこんなSNSは他にはない、イーロンにはもう少し頑張ってほしい。

 

📢 【みくしぃ】平成16年サービス開始の株式会社MIXIが運営するSNS。平成22年までにかけて招待制の国内発SNSとして人気となりユーザーを増やしていくも、その後次第に衰退していった。

 

PROFILE

カレー沢薫
どうぶつ社会風刺政治ギャグ漫画『国家の猫ムラヤマ』①②巻、『国家の猫ムラヤマ 解散!』、
健康エッセイ『部屋から出ないで100年生きる健康法』、
SNS心得エッセイ『一億総SNS時代の戦略』(すべて弊社刊)大好評発売中!
弊社エレガンスイブ編集部運営ウェブサイトSouffle(スーフル)にて『
ほがらかSNSライフ 』連載中!

X(旧Twitter)@rosia29
ヤンチャン担当X(旧Twitter)@murayamasoul

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5時間前