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ヤンチャンWebさんの作品:第59回 ミサンガ

ミサンガ

 2026年ワールドカップに向けてまたサッカーが盛り上がっている。私はサッカーのことは全くわからないが、前のワールドカップで昔の担当が訳知り顔で日本のサッカー批判をSNSに書き込んでいるのがあまりにもムカつきすぎたため、この担当に吠えヅラをかかせるためだけに勝ってほしい、という複雑すぎる経緯で、日本代表を応援し、そのまま流れで決勝まで見たことがある。

 日本は惜しくも決勝トーナメント一回戦で敗退したが「予選突破も無理」などと吹かしていた担当の予想を覆してくれただけでもこちらは滂沱の涙であり、何かと収穫の多いワールドカップだった。サッカーが野球に次ぐメジャースポーツになったのは平成に発足した「Jリーグ」がきっかけだろう。

 結成時は野球をしのぐ盛り上がりを見せており、その勢いは田舎のキッズにも届いていた。その時私は小学生であり、すでに休み時間に「読書」を決め込んでいるようなタイプだったが、そんな異端ですらこの波に乗らないのはまずいと思うほど、クラスがJの話題一色だったのだ。

 もちろん、サッカーができるわけはない、そもそも今までいた友人を合計しても11人に満たないのだ。しかしJリーグはサッカー以外にも様々な文化をもたらしたのだ。

 その一つが「ミサンガ」である。ミサンガとは当時のJリーガーたちがよくつけていた、手首に巻く編み紐のことで「切れたら願いが叶う」という女子も好みそうなジンクスも相まって爆発的に流行った。

 

 ミサンガは手作りできるため、親に物を買ってもらえない勢でも乗れる流行だったことも大きく、私も周囲に倣って適当な紐でミサンガを作って巻いていた。しかし、ミサンガというのは「そう簡単に切れない」のである。

 激しく動くサッカー選手なら割と切れるのかもしれないが、小学生から禁じ手である読書を発動させるような奴のミサンガなどそうそう切れるわけがない。すると長期間装着されっぱなしのミサンガは、生活における全ての汚れを吸収しだし、元の色が何だったかすらわからなくなるし、おそらく臭かった。

 当時何を願ったかは忘れたが手首に臭い紐を巻いている奴の願いが叶うわけがない。ただその後、学校側が「ミサンガ禁止令」を出したため「だったら仕方ないね」という体でミサンガを普通にハサミで両断してはずすことができたのだけは、唯一ミサンガがもたらした幸運と言えるかもしれない。

 

📢 【みさんが】 平成5年にJリーグが発足し、人気チームの選手がつけていたことでJリーグブームとともにファッションアイテムとして若者の間で人気が高まった。

PROFILE

カレー沢薫
どうぶつ社会風刺政治ギャグ漫画『国家の猫ムラヤマ』①②巻、『国家の猫ムラヤマ 解散!』、
健康エッセイ『部屋から出ないで100年生きる健康法』、
SNS心得エッセイ『一億総SNS時代の戦略』(すべて弊社刊)大好評発売中!
弊社エレガンスイブ編集部運営ウェブサイトSouffle(スーフル)にて『
ほがらかSNSライフ 』連載中!

X(旧Twitter)@rosia29
ヤンチャン担当X(旧Twitter)@murayamasoul

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1日前