リア充爆発しろ
私は一日中YouTubeでゆっくりゲーム実況を見ている中年だ。多分「ゆっくり実況」の段階から要説明だと思うが、それは各自で調べろ、そこまで世間は親切ではない。
概ね楽しんでいるのだが、ゲーム内に恋人などのパートナーがいるキャラが出るたびに実況者が「リア充爆発しろ」と言うのが若干気になる。「リア充」とは実生活が充実している人のことを指し、我々ネットにしか居場所がない人間がリア充をやっかむ時に使われたのが「リア充爆発しろ」である。
令和になってリア充に爆発してほしい気持ちが消えたのかというと、未だに爆発四散して欲しいと思っているが、爆散して欲しいと願うリア充の種類が変化してきているのだ。
多様化により、正直「恋人がいる」という状態をそんなに羨ましいとは思えなくなっているし、結婚や子供を持つことが年々困難化しているため「結婚して3人の子供がいる」と言われても嫉妬ではなく「それは御苦労されているのですね」という労いの方が湧いてしまう。
よって「リア充爆発しろ」のツッコミを見るたびに、お前本当にそう思っているのかと感じるし、ギャグで言っているなら古いと思ってしまうのだが「俺は令和7年になってもカップルが憎くて仕方がない」というなら疑ったことを詫びたいと思う。
では、私が今爆散を願うリア充は何かというと、シンプルに「成功者」である。もしかしたらカップルを恨んでいた時の方がまだかわいかったのかもしれない。
才能と努力により成功した人間の爆発を嫉妬100%で願う姿は本当に醜い。それに比べれば臆面もなく、羨ましいという気持ちのみでカップルの爆発を願っていた平成は「爽やか」ですらある。
むやみやたらに恋愛強者こそ勝者とされていた時代からは進化したと言えるが、嫉妬であることすら認めず、なんとか相手の落ち度を見つけて叩こうとするようになったという意味では退化している。
私も嫉妬自体はやめられそうにないが、せめて「本が売れている作家全員爆発しろ」と、嫉妬であることを1ミリも隠さず他人の爆散を祈りたいと思う。
ちなみに語源にもなっている「リアルが充実している人」に対する嫉妬も正直薄れてきている、何故なら私はリアルよりネットの方が楽しいのだ。自分が楽しければ、それがリアルでもネットでも関係ない、そもそもネットをやっている時間もリアルである。
ネット上でいつの間にか経過した3時間が嘘であればいいのだが、残念なことにリアルなのだ。
📢 【りあじゅうばくはつしろ】 主に恋愛方面で現実世界が充実しているリア充な者に対し、嫉妬と羨望を交えながら罵りとして使われるネットミーム。平成20年頃から使われていて、ニコニコ動画では平成21年に「リア充爆発しろ!」という楽曲も投稿された。
PROFILE
カレー沢薫
どうぶつ社会風刺政治ギャグ漫画『国家の猫ムラヤマ』①②巻、『国家の猫ムラヤマ 解散!』、
健康エッセイ『部屋から出ないで100年生きる健康法』、
SNS心得エッセイ『一億総SNS時代の戦略』(すべて弊社刊)大好評発売中!
弊社エレガンスイブ編集部運営ウェブサイトSouffle(スーフル)にて『 ほがらかSNSライフ 』連載中!
X(旧Twitter)@rosia29
ヤンチャン担当X(旧Twitter)@murayamasoul
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