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ヤンチャンWebさんの作品:第73回 シール帳

シール帳

 昨年「平成女児」が流行語にノミネートされたが、これは平成に女児期を迎えた女のことではない。まず範囲が30年もある時点で危険だが、何より「いくつまでを女児と呼ぶか」で意見が割れる。そんな言葉を流行語にするのは「戦争を流行らせたい」と言っているようなものだ。

 そうではなく、主に平成初期から中期に女児の間で流行った、キャラクターや文房具、ファッションなどのカルチャー全般のことを指す。その平成女児が令和女児と、懐かしさで幼児退行を起こした元平成女児現令和熟女の間で再熱している乱世が今である。

 ただ当時のまま流行っているわけではなく、令和版平成女児として刷新されており、特に再ブームになっている「シール帳」も、人気なのは「ボンボンドロップシール」という平成には存在しなかった立体的なシールらしい。

 

 これは、我々が祖父母宅でお菓子と称してブルボソ王室御用達を出されて不満顔をしたように、「シール好きなんでしょ」と平坦なシールを孫にあげてコレジャナイされるパターンだ、ブームだけではなく、子供と老人のやりとりもループしてしまっている。

 私も世代的には平成女児なので、懐かしさで陰毛が全部抜けていると言いたいが、実はそうでもない。児童にとって流行は、本人が乗るかどうかより、親が乗せてくれるか否かの方が大きい。シール帳のようにグッズ系ならなおさらだ。我が家は波という波を無視する家庭だったので、平成女児文化にはほぼ触れてないのだが、シール帳に関しては親の方針以上に「交換」というシステムにより乗れなかったと思う。

 シール帳はただのコレクションアイテムだけでなくシールを交換し合うコミュニケーションツールでもあった。よって「シールがないと友達の輪に入れない」という問題も発生していたと思うが、こちらとしては「シールはあるけど交換する友達がいない」の方が厳しい。今思えば「親が買ってくれない」という最大の言い訳があって良かったとすら思う。

 今の親も友達と遊べないという理由で物をねだられたら弱いと思うが、我が子が「あっても遊べない奴」の可能性もあるので、与えればいいというわけではない。

 しかし、あまりにも流行に触れさせないと「流行はくだらないもの」という、サブカルクソ脳を育ててしまう恐れもある。それで青年期を棒に振ることもあるので、児童期は極端にならないほうがいい。

 

📢 【しーるちょう】好きなシールを集めて貼るノートやファイル。友達同士で見せ合ったり、交換したりするのが定番の遊び方。かわいさと懐かしさで、令和でも人気が再燃し、シールが品薄となりニュースにも取り上げられた。ぷっくりしたシールやカプセルの中に水やスパンコールが入った特殊加工のシールは特に人気が高い。

PROFILE

カレー沢薫
どうぶつ社会風刺政治ギャグ漫画『国家の猫ムラヤマ』①②巻、『国家の猫ムラヤマ 解散!』、
健康エッセイ『部屋から出ないで100年生きる健康法』、
SNS心得エッセイ『一億総SNS時代の戦略』(すべて弊社刊)大好評発売中!
弊社エレガンスイブ編集部運営ウェブサイトSouffle(スーフル)にて『
ほがらかSNSライフ 』連載中!

X(旧Twitter)@rosia29
ヤンチャン担当X(旧Twitter)@murayamasoul

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1日前