

氷のように凍えるほど人の心がわからぬ“冷害王子”と呼ばれるディートリヒは、権力を欲する母親の言うがまま17歳で王に即位したが、運命は残酷だった。やがて太陽のような笑顔で人々に愛される弟オスカーに王位を奪われ、公開処刑されたのだ。だが、斬首されたと思った瞬間、ディートリヒの意識はあり得ないことに4年前の13歳の頃に戻っていた。時が戻ったというのか? 首を斬りおとされた感触まで覚えているのに? それは女神ダリアの気まぐれな奇跡なのかもしれないが、やり直せるなら、今度こそ婚約者マルグリットを幸せにしたい。前の人生で愛し方がわからなかった。いとおしかったからこそ、わざと冷たく接して彼女を遠ざけたが、彼女はどんなにディートリヒに傷つけられても優しさを貫いてくれた。斬首される最後の瞬間まで、ディートリヒのために祈りを捧げてくれていた。今度こそ間違えない。なんとしても生き抜いて、マルグリットとともに幸せをつかむ! のちに“賢王”と呼ばれる王子のリベンジが始まる!